日本在宅ケアアライアンス(JHHCA)は、超高齢社会における在るべき医療の実現と地域包括ケアシステムの構築を目指すため、多職種からなる関係団体の連合体組織として、
・在宅ケアの質の向上及び普及
・連携における課題の共有と解決
・関連団体のネットワーク化と協働的取り組みの促進
に取り組んでいます。
日本在宅ケアアライアンス
理事長 新田 國夫
今、日本においては、2040年に向けて85歳以上人口が急速に増加し、重度の要介護者や認知症の高齢者の増加が予測される状況に直面しています。誰もが最後まで自分らしく生きることができるよう、質の高い在宅医療を推進し、地域包括ケアを実現できるかどうか、待ったなしの正念場を迎えていると言っても過言ではありません。
まず検討すべきは、自らの住まい方をどうするかです。高齢者が認知症を伴った要介護状態となることで、本人の意思に反して施設に入ることを余儀なくされる現実があります。これは、日本が急速な高齢化の進展の中で、いわゆる“脱施設化”に失敗したことを意味します。少なくとも、自らが最期まで暮らしたいと願う“場所”は、自宅を含めどのようなところか、ということが議論されなければなりません。
このような急速な高齢化のなかで、私たちは医療と介護と暮らしの複合的なニーズを持った患者と向き合うことになりました。そこに求められるものは、まさに本来の“かかりつけ医機能”です。これからの私たちが目指すべき道は、看取りまでを視野に入れ、多職種の協力のもと、医療と介護、そして地域に暮らすすべての人々が地域ぐるみで協働すること、すなわち「地域包括ケアシステム」の在り方を見いだしていくことに他なりません。注意すべきは、効率を重視したビジネスモデルに流されないことです。なぜなら、ビジネスモデルは、提供者側の発想だからです。
日本在宅ケアアライアンスは設立以来、Lifeの3つの意味「いのち・くらし・生きがい」の視点に立ち返り、患者のQOL、そして笑顔を目的とした在宅医療・ケアの在り方を堅持することを一貫して主張してきました。今一度、その原点を再確認することが、これからの未来を考えていくうえで最も大切な作業であると考えます。
これからの在宅医療・ケアは、量から質の時代に入っていきます。私たちは、原点を大切にしながらも、各地で営々として行われている貴重な事例に着目し、新たな在宅医療・ケアの未来を創造していきます。
日本在宅ケアアライアンスの会員は、活動を共に推進する「正会員」と、さまざまな形で賛助・協賛・支援をいただいている「賛助会員」により構成されています。
正会員団体は、現在23団体が加盟しています。(2025年3月現在)
賛助会員団体は、現在20団体が加盟しています。(2025年3月現在)
賛助会員は、JHHCA会員に向けたメーリングリストの活用や交流会にご参加いただけます。
加盟をご希望の方は、お問合せフォームよりお気軽にご質問・ご相談ください。
理事長 | 新田 國夫 | 全国在宅療養支援医協会 会長 |
副理事長 | 武田 俊彦 |
岩手医科大学医学部 客員教授 |
石垣 泰則 |
日本在宅医療連合学会 代表理事 |
|
平原 優美 |
日本訪問看護財団 常務理事 |
|
業務執行理事 | 太田 秀樹(理事長補佐) | 全国在宅療養支援医協会 常任理事・事務総長 |
蘆野 吉和 |
日本ホスピス・在宅ケア研究会 理事長 |
|
飯島 勝矢 |
日本老年医学会 副理事長 |
|
草場 鉄周 |
日本プライマリ・ケア連合学会 理事長 |
|
理事 |
石本 淳也 |
日本介護福祉士会 相談役 |
宇都宮 励子 |
全国薬剤師・在宅療養支援連絡会 副会長 |
|
小笠原 文雄 |
日本在宅ホスピス協会 会⻑ |
|
小倉 和也 |
地域共生を支える医療・介護・市民全国ネットワーク 共同代表 |
|
織田 正道 |
全日本病院協会 副会長 |
|
亀井 智子 |
日本在宅ケア学会 理事 |
|
蒲原 基道 |
社会福祉法人友愛十字会 理事⻑ |
|
小林 広美 |
日本介護支援専門員協会 副会長 |
|
鈴木 邦彦 |
日本在宅療養支援病院連絡協議会 会長 |
|
高砂 裕子 |
全国訪問看護事業協会 副会⻑ |
|
前田 佳予子 |
日本在宅栄養管理学会 理事長 |
|
三浦 久幸 |
国立長寿医療研究センター 在宅医療・地域医療連携推進部⻑ |
|
三木 次郎 |
全国在宅療養支援歯科診療所連絡会 会長 |
|
監事 | 大森 圭樹 | 税理士法人FOKs(フォックス) |
名誉顧問 |
横倉 義武 |
公益社団法人 日本医師会 第19代会長 世界医師会(WMA) 第68代会長 |
黒岩 卓夫 |
在宅医療推進会議 第二代会長 |
|
特別顧問 |
松本 吉郎 |
公益社団法人 日本医師会 会長 |
大島 伸一 |
国立長寿医療研究センター 名誉総長 |
|
辻 哲夫 |
医療経済研究・社会保険福祉協会 理事長 |
|
有識者委員 |
田城 孝雄 |
放送大学教養学部 教授 |
田母神 裕美 |
公益社団法人 日本看護協会 常任理事 |
|
辻 彼南雄 |
一般社団法人 ライフケアシステム 代表理事 |
|
平岩 勝 |
国立長寿医療研究センター 企画戦略局長 |
|
堀田 聰子 |
慶応義塾大学大学院健康マネジメント研究科 教授 |
事務局 |
矢澤 正人 |
事務局長 |
志藤 洋子 |
事務局次長 |
|
高橋 在也 | 研究事業部長 | |
酒井 由香 | 総務・渉外担当 | |
平山 奈津美 | 経理担当 |
日本が直面している急速な人口の高齢化の進展は、急性疾患中心から慢性疾患中心へという疾病構造の変化を通じて、必要とされる医療の内容に変化をもたらし、「治す医療」から「治し・支える医療」へという医療の在り方そのものの転換が時代の大きな課題となっている。
時を同じくして、国の医療介護を通ずる政策として、地域ごとの医療・介護・予防・生活支援・住まいの継続的で包括的なネットワークとしての「地域包括ケアシステム」の推進が基本課題とされており、とりわけ在宅医療を始めとする多職種連携による在宅ケアの推進が喫緊の課題となっている。
(注)在宅医療は、医師の指示のもとでそれぞれの専門知識を持つ医療職が連携して在宅療養者のために行う医療であり、住み慣れた地域で最後まで住み続けられるよう、医療サービスと介護サービス等を一体的に提供して暮らしを支えるのが在宅ケアである。ただし、「治し・支える医療」への転換によって、在宅医療それ自体も生きがいや暮らし全般を支える視点が不可欠になってきており、専門的技術や知識を持つ幅広い多職種の関与が求められるようになってきた。したがって、日本在宅ケアアライアンスでは、地域包括ケアシステムの推進という目標に向け、在宅医療を始めとする多職種連携による在宅ケアの推進を一体のものとして取り組んでいくこととしている。この目的の下で、医師を始めとする医療職が介護の重要性を認識することが重要であることにも留意し、在宅医療という用語を在宅ケアという用語とほぼ同義のものとして用いることとしている(日本在宅ケアアライアンス「基本文書2」を参照されたい)。
このような状況にあって、2005年(平成17年)以来毎年行われてきた全国在宅医療推進フォーラムに参加する在宅医療に関係する様々な団体の輪は、年々広がりを見せてきた。志を同じくする団体が、2005年11月23日に最初の共同声明をまとめたのが、日本在宅ケアアライアンスの活動の原点である。その後、共同声明に名を連ねる団体は拡大を続け、共同声明の内容も関係団体間で吟味され発展を続けてきている。
2019年版の最新の共同声明は、
「市民とともに、地域に根ざしたコミュニティケアを実践する」
「医療の原点を見据え、本来あるべき生活と人間の尊厳、そして生きがいを大切にした医療を目指す」
「保健・医療・介護・福祉専門職の協力と連携によるチームケアを追求する」
「日本に在宅医療を普及させるために協力する」
ことなどを大きな柱とした共同声明となっている。
在宅医療の推進に関する組織的な活動として、地域包括ケアシステムの理念に立った上記共同声明に賛同し在宅医療の普及推進を目指す専門職らの団体が結集し、ともに在宅医療を日本に普及推進させるための提言等の活動を行うため、2015年2月25日に綱領を定めて「日本在宅ケアアライアンス」を設立し、在宅医療を推進するための様々な活動を展開してきた。
今、日本においては、人生100年時代を迎え、2040年に向けて今後は85歳以上人口が急速に増加するなど、高齢者の中でもより高齢の者が増加し、重度の要介護者の増加や認知症の高齢者の増加が予測される状況に直面しており、誰もが最後まで自分らしく生きることができるよう質の高い在宅医療を推進し、地域包括ケアを実現できるかどうか、今まさに待ったなしの正念場を迎えているといっても過言ではない。このような局面にあって、在宅医療を推進する上で不可欠な関係団体が自主的に連合した日本在宅ケアアライアンスの下で、在宅医療の実践を通したあるべき医療と地域包括ケアシステムの実現を目指し、各団体が連携しつつ活動を促進し、地域における理念の共有と実践の推進といった取り組みを一層強化し、国や地方公共団体などとも連携を図り、これまで以上に使命を十全に果たすことが求められている。上記のような課題を抱えた社会において求められる社会的使命を果たしていくためには、法人格の取得は不可欠だと認識するに至ったところである。
日本在宅ケアアライアンス加盟団体は、このような認識で一致し、このたび法人格を取得し、志を同じくする関係団体が力を合わせ、その活動を一層強化することを決意した。これまでの加盟団体間の連携を強化することはもとより、在宅ケアの普及を目指す団体に幅広く理解と参画を求めるとともに、広く関係各位にもご支援をお願いしたいと考えている。関係各位のご理解とご協力をお願いする次第である。
令和2年10月20日
一般社団法人日本在宅ケアアライアンス
設立時代表理事 新田 國夫